違う風景を見る
琉球新報社提供 「落ち穂」11 2019.6.28掲載 地球儀型のボールを手元に置いていたことがある。ふとした時に手に取り、くるくる回す。軸が固定されていないので、どの角度からも見ることができる。たとえば北半球を視界に入れず南端から地球を見ると、海の占める割合の大きさに驚く。いろいろな角度で地球を眺めれば、見慣れた星とは思えない知らない風景が次々に現れてくる。 そんな遊びをよくしていたから与那国島 […]
強くならない
琉球新報社提供 「落ち穂」10 2019.6.12掲載 「馬語手帖」を出版後、ありがたいことにたくさんの方から「続編を読みたい」という声が届いた。うれしかったが、一方で途方に暮れてしまうような心持ちにもなった。 コミュニケーションは対話だ。「馬の話を聞く」ことの続編は当然「人が馬と話す時にどうすればよいか」が焦点となる。聞き手としてニュートラルな立ち位置で本を書いた前作と違い、話すほうは、その人が […]
織物のように
琉球新報社提供 「落ち穂」09 2019.5.28掲載 与那国には伝統の織物文化がある。リズムに乗って織機をぱたんぱたんと動かす。織物と聞けばそんな映像が思い浮かぶけれど、織り子の友人に織物ができるまでの工程を実際に見せてもらったら、そのあまりの複雑さ、緻密さにくらくらしてしまった。 糸も色も自然から生まれる。どの材料をどんなふうにしたらどういう結果が生まれるか、まずはその知識がなければ始まらない […]
動きを伝える
琉球新報社提供 「落ち穂」08 2019.5.10掲載 「馬語手帖」は馬のボディランゲージを紹介した本だ。馬の表情やしぐさが、それぞれどんな気持ちを表すかをトピックごとにまとめている。 生き物の「動き」を本でどのように伝えるか。動画だったら簡単だけれど紙の上ではそうはいかない。文章で出来ることは限られている。 まずは写真を考えた。試してみるとこれが案外むずかしい。馬の写真は日常的にたくさん撮ってい […]
「聞く」から「対話」へ
琉球新報社提供 「落ち穂」07 2019.4.23掲載 東京にいた頃、私が取材してまとめたいくつかのインタビュー記事に目を留め、会いに来てくれた人がいた。理由が変わっていた。記事の内容に興味を持ったのではなく、インタビューの聞き手がどんな人か会ってみたかったと言う。記事に対してそういう読み方をする人がいるなんて思ってもみなかったのでびっくりした。それが編集者である賀内さんとの出会いだ。 編集者にも […]