100人の読者に

カディブックスとはどんな出版社か、
すこしお話ししたいと思います。

最近、スモールプレスとか、
リトルプレスと呼ばれる出版活動が、
日本のあちこちで生まれてきているようです。
カディブックスもそういう流れのひとつとして、
たぶん生まれてきたのだと思います。

カディブックスは、
できるだけちいさく、
柔らかく続けていきたいと思っています。

たとえば、本は、
オンデマンド印刷という方法で作っています。
一度に印刷する数は100冊ぐらい。
なくなってきたら、また100冊作ります。
それがなくなったら、また100冊。

この方法のよいところはたくさんあります。

一度にたくさんのお金を必要としません。
在庫も少ないので、
置き場所にもそんなに困りません。

もしなにかを変えたくなったら、
次の版から変えることもできます。
かなり自由な感じです。

無理がかからないので、
細く、ながーく、
続けていくことができます。
たぶん絶版とかないです。
本を断裁して処分することもないです。

ふつうの出版社が新刊を作るとしたら、
どんなに少なくても、
初版2000冊ぐらいは刷るのではないでしょうか。

そして全国の書店に配本し、
売れなかった本は半年で返本されてきます。
返本率は40%とも言われています。

在庫管理するのにもコストがかかりますので、
売れなかった本は
断裁処分になることも多いようです。

幸いにそこそこ売れた場合でも、
版を重ねるたびに
それなりのコストがかかりますので、
よい本でも再版未定や絶版に
なってしまうこともあります。

つまり短い期間に
たくさん売れることを前提とした
本作りをしなくてはいけません。

ものすごくいい内容で、
その本を読みたいと思っている人が必ずいる、
とわかっていても、
上記のようなシステムの中では、
生まれてこない本が
たくさんあるような気がするのです。

でも、とりあえず100冊でいい、
ということなら、
その枠はぐーっと広がります。

その前提なら、いろいろな本が作れます。

そういう視線で作った本は、
案外、この時代、この世界から、
必要とされてるんじゃないかな、
という気がするのです。

そういう風に作られた本を読む人々の中には、
未来につながる感覚が宿っている、ような。

100人が次の100人になり、
またその次の100人になる、かもしれません。

そんな風なことを考えています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

追記
ありがたいことに、いざはじまってみると、
100冊単位では追いつかないことがわかりました。
現在は、200〜400冊単位で印刷しています。